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2006年7月 7日 (金)

佐々木厳太郎教授の財務管理論2

「あなたの教育方針は素晴らしい。是非あなたの講義を聴講したいのだが」

私は内なる衝動に抗しがたく佐々木教授に申し出ると、

「いいですよ。しかしながら、あなたは何者です? 学内ではとんと見かけない顔ですが?」

怪訝な顔をする佐々木教授に、

「あ、いや。先日、東京国立大から赴任いたしました哲学担当の長岡佐渡」

と告げると、佐々木教授の笑顔が瞬間、怪しげな笑顔に変じた。

「サド・・・・・・ですか」

「ええ。佐渡です。佐渡島の」

途端に佐々木教授の顔が引き締まり、

「あはははは、トキがいる佐渡島ですか。北朝鮮から帰ってきた曽我ひとみさんやジェンキンス氏がいる佐渡ですね。いまは、ジェンキンス氏がどこのブランドの車に乗るか注目の的だそうですよ」

何気ない話の中をしながら、私は佐々木教授の時折痙攣する顔の影に見え隠れする怪しげな欲望に満ちあふれた笑顔が気になったが、とりあえず、佐々木教授の講義する「財務管理論」がおこなわれる熱気あふれる大教室に入った。

壇上に上った佐々木教授は2名の雑務助手に、

「施錠(せじょうー)―」

と大音声を発すると、雑務助手は大教室の前後の巨大な扉を鎖でグルグルまきにして大教室を密室状態にした。

瞬時に、大教室に閉じ込められた150名ちかくの生徒に緊張が走った。

マイクを握った佐々木教授は開口一番、

「諸君。金融マネー・ゲームの時代が到来しました。我が国はこの金融マネー戦争に勝ち残っていかねばならない。みよ、先進国はすべて金融王国である。諸君はこの国の信用力があるうちに投資家を募り、大量の資金を調達し、マネー・ゲームに参加して勝利しなければならぬ」

うしろからゲボッ、という学生が嘔吐する音が聞こえた。当然だろう。

佐々木教授はなおも続けた。

「ホリエモンのいう事は資本主義の真実をついている。起業して失敗したって、個人保証さえしなければ、失うものは何もないのだ。失うものは社会的信用だけだ。これからの日本は文化力などというたわ事を言うものがいる。小国から大国、貧国から富国と成り上がることでしか日本は日本たりえないのだ。諸君、文明の成果は金で買い取ればいいのだ。さあ諸君、西洋諸国とのマネー・ゲームに打って出よう」

「これってカルト商法?」という話し声も聞こえた、この声も至極当然である。

私はこの講義説明を聞くなりゲンなりした。

私は哲学、特に公共哲学を講ずるものである。

このなんともいえぬプラグマティクな講義を大学という場所でおこなうこの佐々木という人物にも大いに不審感を抱いた。この講義をエスケープした学生の方がよっぽど正常なのじゃないか、と思った。

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